深雪〜miyuki〜 第八話〜早瀬姉妹〜
クリスマスイヴの昼。
偶然入った喫茶店で深雪たんと再会を果たした僕。
深雪たんとの約束を取り留め、僕は軽く深里ちゃんと話しながら深雪たんがバイトからあがるのを待っていた。
深里「あのぉ、裏ちゃんって呼んでもいいですか?
がつがつとエビさんを口に運ぶ僕に唐突に問いかけてくる深里ちゃん。
裏ちゃん…、10点中6点ってところだね。
僕的には年下の子にはさん付けで呼んでもらえたら最高だと思うんだ。
裏「う、裏ちゃんですか…?
深里「はい、私こう見えても可愛いもの好きなんですぅ〜
うん、まぁ見かけ通りといったところだろうか。
ふりふりの洋服にくまさんのバッグ。
イルカのアクセサリーにしましま模様のニーソックス。
そんな彼女の外見を見れば可愛いものが好きだというのも頷けるだろう。
しかしそれとこれとどういう関係があるのだろう。
…"ちゃん"か、"ちゃん"が可愛いというのか。
いいだろう、望むところだぜ。
裏「ええと、深里さんさえ良ければ構いませんよ
深里「深里ちゃんです
裏「え?
深里「深里ちゃんって呼んでください〜
…突拍子の無い事を言ってくるところがどことなく静名さんに似ている気がする。
いやいや、この子は深雪たんの妹のはずなんだが。
裏「あ、えと、それじゃあ深里ちゃんで…
深里「はいですぅ〜v
僕の顔を見ながら「えへへ」という感じでにっこりと笑いかける深里ちゃん。
くそ、姉妹揃って僕を萌え殺す気なんだろうか。
思わず頭をなでてあげたくなってくる。
ニヤつきを隠せない僕。
いや、むしろ隠さない僕は漢ではないだろうか。
なんだか深雪たんとは違う独特な可愛らしさがあるな、うん。
その貧乳で僕とここまで渡り合うとは中々やるn…
深雪「うーらーはーさん…?
裏「あ゛……
…。
僕が深里ちゃんに萌え萌えしている中、絶好ともいうタイミングで駆け寄ってくる深雪たん。
なんという深雪たん…見ただけでわかってしまった、この目つきは間違いなく軽蔑のまなざし。
深雪「…もう、あんまりえっちなこと考えてちゃ駄目ですよ?
裏「えっと…、あはは、別にそういうわけでは…
深雪「……
裏「…ごめんなさい、もうしません許してください
ほのかな気まずさに捕らわれる僕。
…くそ、姉妹揃って僕を困らせる気なんだろうか。
深里「あぅ…、ごめんなさい、お姉ちゃんやきもち焼きだから
裏「は、はぁ
深雪「ち、ちが…
深里「あのぉ〜、お姉ちゃんと裏ちゃんってどういう関係なんですかぁ?
裏「え…
相変わらず突拍子の無い質問をしてくる深里ちゃん。
深里ちゃんなりに気を遣ってくれているのか、それとも単に空気が読めないだけなのか。
それはきっと姉である深雪たんにしかわからない。
というか恐らく年下であろう女の子にちゃん付けで呼ばれるのはやはりなんとも微妙な心境である。
そんなことを頭の中で思い巡らせながらチラりと深雪たんの方に目を向けてみる。
すると、一人頬を赤くしてあたふたしている深雪たんの姿が目についた。
深雪「わ…私と裏葉さんは…その…別に何でも……
…どうも深雪たんは冗談を真に受けるタイプらしい。
というより本当になんでもない偶然知り合っただけの仲なんだからはっきりとそう言えばいいのに。
いや…、まぁそれはそれで僕が悲しい気持ちになりそうだから勘弁して頂きたいが。
裏「あ、えーっと…僕と深雪さんは昨日偶然街で知り合っただけで…それ以下でもそれ以上でもないですよ。
僕が深雪たんをフォローする様に深里ちゃんに言った。
深里「ふぇぇ、そうなんですか。でも二人とも凄く仲良さそうに見えますよぅ?
裏「え…、そ、そうかな?
深里「はい、お姉ちゃんもついに出来ちゃったのかなーって思いましたよ
裏「出来ちゃったって?
深里「彼氏さんですよぉー、裏ちゃんが彼氏さんですv
裏「か、かれ…
…。
仮に僕らが恋人同士だとしても彼女と僕ではどう考えても釣り合う要素が無いと思うけど。
アイドル級の美少女にアニゲー好きのキモヲタ…。
…うん、まさに美女と野獣ってやつだろうか。
考えるだけ鬱になるからやめておくとしよう!
深雪「み、深里ぉ、あんまり変な事言わないでよ…
深雪たんが顔を真っ赤にしながら必死に反論してくる。
…なんだかこっちまで恥ずかしくなってくるんですけど。
深里「えへへぇ、お姉ちゃんったら照れちゃってーv
深雪たんの真っ赤になった頬をニコニコ顔でぷにぷにと突く深里ちゃん。
…うん、多分この姉妹はいつもこんな感じなのだろう。
深雪「ふぇ…
深雪たんは顔を赤くしたまま今にも泣きだしそうな顔で俯いてしまっている。
どうやら深雪たんは深里ちゃんに頭があがらない様子。
ごめん、不覚にも妹に圧倒される深雪たんに萌えたのは此処だけの話だ。
裏「…あ!そういえば深雪さん今バイトあがったんですよね、お疲れ様です
なんだかいたたまれなくなってきた僕はとりあえず手ごろな話題を振ってみる事にした。
深雪「あ…有難うございます…
裏「制服もいいですけど、やっぱり私服の深雪さんは可愛いですね
深雪「そ、そうでしょうか…?
裏「そうですよー、よく似合ってますよ
深雪「…嬉しい…です…
裏「あはは、ほんとに似合ってます似合ってます
ふぅ、とりあえず少しは元気出してもらえたかな…と、ホッと一息つく。
深里「ねぇねぇ裏ちゃん
裏「はい?
深里「裏ちゃんは…お姉ちゃんのこと、好きですか?
…なんだろう、昨日誰かに同じ様な質問をされた気がするが気のせいかな。
裏「え…えっとまぁ…その…、好き…ですけど
深里「…はい、それじゃ行きますかー
裏「ほぇ?何処にですか?
深里「勿論…温泉に決まってますぅv