深雪〜miyuki〜 第二話〜ファミレス〜
道行く人が少なくなってきたと思い、ふと時計に目をやる僕。
時計の針は夜9時をさしていた。
バイトが終わったのが6時だから…やれやれ3時間も探し回っていたのか。
ふぅ、と一つため息をつく。
深雪「あの…
隣で探していた深雪たんが顔を近づけてくる。
その顔はやはり何処か幼げな雰囲気が漂う。
そしてその幼い顔に似合わないダイナマイトボディー。
今まで何人の男どもを悩殺してきた事やら。
裏「はい?
妄想に頭を回らせつつもとりあえず返事を返す僕。
深雪「その…ごめんなさい、こんなに遅くまで付き合わせてしまって、私…
深雪たんは顔を下に向けて申し訳無さそうに言う。
くっそ、何か抱きしめてやりたくなるぜ。
裏「いえいえ、僕が勝手についてきただけなんですし気にしないでくださいって
裏「それに世の中助け合いって言うじゃないですか
思いついた様にそんな言葉を口にする僕。
深雪「でも…やっぱり悪いです、あんまり遅くなったら裏葉さんのご家族も心配するでしょうし…
裏「あー、それは多分絶対大丈夫ですから
毎日ゲーセンに朝までいるしね。
深雪「はぁ…それじゃせめてご飯でも…その、ご馳走させてください
裏「それこそ悪いですよ、僕ほとんど何もしてないのに
深雪「でも…こんな遅くまで突き合せちゃったし………
段々と声のトーンが下がっていく深雪たん。
裏「本当に大丈夫ですって、それに財布なくしちゃったんでしょう?
深雪「あ…
裏「…あはは
深雪「……
完全に押し黙る深雪たん。
…やばい僕また何か地雷踏んじゃったかな!
裏「ええと…、もう一度少し探してみましょうか
深雪「はい…、ごめんなさい
裏「いえいえ
何か少し気まずい雰囲気のまま再び歩き出す僕達。
しかし落ちているのは相変わらずゴミばかりで一向に見つかる気配が無い。
…こんなんで本当に見つかるのかなぁ。
そう、不安に感じていると突然何か音が鳴る。
ギュルルルル…。
何の音だろう、と辺りを見回す。
すると雪の様に白かった頬を真っ赤にした深雪たんが目についた。
僕の視線に気付いたのか、深雪たんは慌てて背を向けてまた探し始める。
ご飯も食べずにずっと探していたのだろうか、どうやら深雪たんのお腹の虫が鳴っていたらしい。
格言う僕もそろそろお腹が減ってきた。
…昼ごはんベビースターとペプシしか食べてなかったせいかな。
裏「あの…
深雪「…ぁ、は、はい!なんでしょうか?
赤くなった頬を隠す様に顔に手を添える深雪たん。
その仕草がたまらなく可愛らしい。
お持ち帰りしたいよ!お持ち帰り!
裏「お腹…空いてるみたいですしもし良ければその辺のファミレスでも行って何か食べません?
深雪「で、でも…私お金無いですし…
裏「大丈夫ですよー、僕今日給料日でしたので
と、華麗に嘘。
マイサイフは1000円札が3枚に小銭が数枚入っているのみである。
裏「どーんとご馳走しちゃいますから安心してください
深雪「でも…
深雪たんがどうしようといった表情でオロオロしながらこちらを見てくる。
裏「それじゃあ…財布、もし見つかったら深雪さんにも何か奢ってもらうって事で。それならどうですか?
深雪「…はい、わかりました
深雪たんは小さく頷いた。
深雪「あの…
裏「はい?
深雪「何だかごめんなさい、お財布捜すの手伝ってもらった上にご飯までご馳走してもらっちゃって…
なおも申し訳無さそうにしている深雪たん。
裏「まぁまぁ、人生助け合いって言うじゃないですか
深雪「助け合い…ですか
裏「困っている時はお互い様って奴です
とりあえず思いついた事をばんばん口走る僕。
深雪「なんだか…尊敬しちゃいます
深雪たんがほのかに微笑みながら言う。
裏「何がですか?
深雪「裏葉さんみたいな考えが出来る人って中々居ないと思いますし…裏葉さんのお友達が羨ましいです
裏「あはは…そんな事は
ただの口から出任せですし…と言いかけてやめる
深雪「ううん、本当にすごいです。今だってこうして私のお財布捜すの、手伝ってくださってるじゃないですか
裏「それはまぁ…なんというか成り行きって奴で
乳が見ていたいから付き合っただなんて口が裂けてもいえないね。
深雪「はぁ…裏葉さんは私と違って大人で羨ましいです
裏「ははは…
苦笑いする僕、この子が僕の本性を知ったらどうなる事やら。
深雪「私も裏葉さんみたいに大人な考えが出来る様になりたいです…
裏「何言ってるんですか、十分大人ですよ
深雪「そうでしょうか…?
裏「勿論ですとも
深雪「それじゃあどの辺が大人なのか教えてくださいよ
深雪たんがいたずらっぽく笑いながら言った。
しかし「そうだね、主に胸の辺りが非常にいいんじゃないかな」なんて言えるわけもなく戸惑う僕。
深雪「あはは、ごめんなさい。無理に答えなくてもいいですよ
裏「いや、その…
深雪「私、自分でよくわかってますから。同年代の子と違って子供っぽいなって…
裏「そんな事は…
深雪「…あるでしょ?
裏「…んと……
深雪「えへへ…すいません困らせちゃって…裏葉さんがすっごく真面目に悩んでるからちょっとからかってみたくなっちゃって…
口に手を当てクスクスと笑う深雪たん。
は、謀ったなシャア。
そうして軽く雑談しながら二人歩いているとファミレスが見えてきた。