深雪〜miyuki〜 最終話〜STEP〜
深里「あ!裏ちゃん、いらっしゃーいw
カウンターで僕を待ち構えていた様子で手を振ってくれる娘っ子。
裏「こんにちは、深里ちゃんは今日も元気だね
深里「うん、えへへぇーv
つられて僕も手を振り返す。
彼女は笑顔を僕に返してくれた。
…しかし。
"レストラン海賊"
その店は相変わらず異彩を放っていた。
一見するとただの飲食店の様に見えるけど…
何度来ても従業員の女の子達の制服が水着にしか見えない…ぜ。
「いらっしゃいませーv
店内に入ると水着…じゃなかった、制服姿の胸キュン(おっぱい的な意味で)な女の子達が出迎えてくれた。
…全くけしからん、実にけしからん。
欲を言えば「いらっしゃいませご主人様v」って言ってほしいかな。
ていうかここ何か違う店だろ…常識的に考えて…。
裏「ほんっとに、けしからんですよぉ
深里「じぃー…
裏「…み、深里ちゃん?
深里「裏ちゃんってば、目つきがやらしいー…
女の子達を舐める様にし…じゃなかった、鑑賞していると深里ちゃんがじとーっと睨み付けてきた。
裏「…やだなぁ、そんなことないよ
深里「そんなに鼻の下伸ばしてるとお姉ちゃんに言っちゃうんだからぁー
裏「…深里さん、それだけはご勘弁を
深里「いいよぉw今度チョコレートケーキ奢ってもらうからw
裏「……。
こうして今日もじわじわと僕の財布が蝕まれていくわけですね…。
「あ、裏葉くんじゃなーいw
そんなくだらないやり取りをしていると。
ふと店の奥から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
聞き覚えがあるっていうか…まぁ。
静名「うーらはくんwやっほーv
裏「…なんで静名さんが居るんですか
静名「む、何よー、居ちゃ悪いのー?
裏「え、いや、別にそういうわけでは…
静名「あ、さては…ふふふw
裏「な、なんですか…
静名「裏葉くんってば、深雪ちゃんと二人になれないのが嫌なんでしょーw
裏「は…はぁ?
静名さんはニヤニヤしながら僕を茶化してくる。
…こういう時はスルーするーに限る。
裏「そういえば…深雪さんは何処に居るんですか?
静名「あ、こらー、スルーするなー
裏「まぁそれはおいといて…、何処に居るんですか?
静名「もー…裏葉くん嫌い…
なんだか静名さんがモノ言いたげに僕を見ている気がするが、気にしない。
深里「お姉ちゃんなら、さっき買出しに行ったよぉー
裏「え?…そうなの
深里「深雪さんの水着姿を逃すなんて…この裏葉、一生の不覚…
裏「…何かな、それは
深里「何って、裏ちゃんの今の気持ちを表現してみたんだよぉーv
静名「あははw深里ちゃんってばうまーいw
裏「…。
こいつら…。
いつか絶対僕の前に跪かせてやるんだからぁ…。
裏「まぁ…それじゃ僕、ちょっと様子を見に行ってきます
静名「…ふふw
裏「…?どうしました?
静名「裏葉くん、板についてきてるなーと思ってw
裏「…何が?
静名「ばかー。カレシ、に決まってるでしょv
…。
彼氏…ね。
あの日。
クリスマスの日の夜。
僕らは恋人同士になった。
なんだかまだ実感が沸かないけど。
それでも…その時、確かに僕らの心は通じ合ったんだ。
―――。
裏「ふぅ、深雪さん…どこまで買出しに行ったのかな
商店街の路地を歩き、深雪たんを探す僕。
僅かに照らし出された夕日が眩しい。
昼間は人の通りがするその路地も、今は道行く人が疎らになっている。
裏「それにしても寒…
深雪「あれ…?裏葉さん?
裏「お…
人通りが少ないためもあってか、その娘、深雪たんは思いのほかすぐに見つかった。
深雪「…こんにちはv
裏「あ…うん、こんにちは
そうして、僕らは軽く会釈する。
深雪「どうしたんですか?こんなところで
裏「…まぁ、ちょっと
深雪「…?
裏「その…深雪さんの様子を見に来たっていうか
深雪「わざわざ…迎えに来てくれたんですか?
裏「まぁ…、はい
深雪「…嬉しいです
深雪「この道…懐かしいですね
裏「道?
深雪「私が裏葉さんと…初めて出会った場所です
裏「ああ…そういえば
深雪たんと初めて会ったあの日。
一緒に財布を探してあげたんだっけ。
…といっても僕は深雪たん(の胸)の事ばかり見てたけど。
深雪「お財布は結局見つからなかったけど、でも…あの日、私がこの場所に居なかったら、裏葉さんと出会えなかったんですよね
裏「…。
この娘っ子は恥ずかしいことを堂々と…。
思わず抱きしめてやりたくなるじゃねーかこのやろう。
裏「…さてと、遅くなってもいけないし、そろそろ戻りますか
深雪「あー、裏葉さんったら照れてるんですか?w
裏「ははは…そんなわけないじゃないですか
深雪「ね…手、繋ぎましょう
裏「え…
深雪「駄目…ですか?
裏「あ、いや…いいよ
深雪「…うふふv
ぎゅっと握り締めたその手は、とても小さかったけど。
だけど…すごく柔らかくて、温かかった。
深雪「あ…これ、ケーキ買ってきたんですよ
深雪たんはそう言ってケーキの入った箱を僕に見せてくれた。
裏「ケーキならさっき深里ちゃんが食べたがってましたけど
深雪「…これは裏葉さんのために買ったんですよ
裏「え?僕の?
深雪「裏葉さんったら…今日は貴方の誕生日じゃないですか
裏「…ああ、そういえばそうだっけ
深雪「…本当に忘れてたんですか?皆そのために集まってくれたのに…
…そういえば今日お店に来たのはそんな理由だった様な。
The legend of 痴呆。
裏「あはは…ちょっとド忘れしちゃったっていうかなんていうか
深雪「もう…深里達に言っちゃいますよ?
裏「…それだけはご勘弁を
あの娘に知られたら今度は何を奢れ言われるか分かったもんじゃない。
深雪「ふふ…冗談ですよw
裏「…。
何か最近深雪たんにまでおちょくられてる気がしてならないんだがどうしてくれよう。
深雪「ね、行きましょv
裏「あ、ああ…うん
そうして。
僕達は二人、手を取り歩き出した。
深雪「裏葉さん…大好きです