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深雪〜miyuki〜 第十一話〜彼〜


深雪「……
裏「……えーっと…

広々とした温泉。
湯煙に包まれながら僕と深雪たんは隣合わせにお湯に浸かっていた。

そう、憧れの混浴。

…のはずなんだけどこの重苦しい気まずい空気はなんだろう。

隣にはタオルに身を包み、程よく体を火照らせた深雪たんの姿があった。

年頃の男女が二人っきりで温泉ですかそうですか。

普段ならこれ程幸せなことは無いのだが…。
残念ながら今は気まずさしか感じられないんだぜ。

深雪たんはというもの、どうしていいかわからないのかさっきから俯いたまま黙り込んでしまっていた。

…えーっと、なんでこんなことになってるんだっけ?
と、僕はついさっきの出来事を思い返してみた。

……。

―だって家の温泉、元々混浴だもーんw

……ああ、そうか。

―うふふーw楽しんできなよー裏葉君?w

そうだ、僕はまた悪い女に騙されて…。
くそ、なんで僕はいつもこう…ブツブツ…。

深雪「……あの…裏葉さん?
裏「ひゃ、ひゃい!?



…びっくりした。
まさか深雪たんの方から話しかけてくるとは予想外の予想外なんだぜ。

裏「…コホン。はい、なんでしょうか。

僕は落ち着いて体制を立て直し、返事をした。

深雪「えと…ごめんなさい、何か変なことになっちゃって…

いや、ごめんなさいも何も深雪たんが謝る要素は何も無いと思うのだが。

裏「いやいや、深雪さんは何も悪くないじゃないですか。気にしなくても…
深雪「いえ…私がきちんとお断りしていれば…その…

どうやら深雪たんは自分のせいと責任を感じているらしい。

責任的には 静名さん>深里ちゃん>>>超えられない壁>>>深雪たん
だと思うわけだが。

裏「まぁ、あれはなんていうか静名さんが弱気な深雪さんを上手くハメたというか…
深雪「…どうせ私は弱気でハメられやすい女ですよーだ

眉をツンとさせてムスッとする深雪たん。

そんな仕草がまた可愛い…じゃなくて僕はまた墓穴を掘ってしまったらしい。
これ何て厄日?

裏「あ、いやその、今のは言葉のあやというかその…ははは
深雪「…でも、男の人と一緒にお風呂に入るなんて…ちょっと新鮮ですね

深雪たんはそう言って小さく微笑む。

…まぁ普通は異性と一緒にお風呂に入るなんてないだろうし当たり前っちゃ当たり前なんだけど。
というか深雪たんが他の男と一緒にお風呂入ってるとはあんまり思いたくない。

深雪「…ねぇ、裏葉さん
裏「は、はいはい!
深雪「…裏葉さんと静名さんってどういう関係なんですか
裏「へ?

oh?
突然何を言い出すんだろうこの娘は。

深雪「…どういう関係なんですか

そう言って身を近付かせてくる深雪たん。
あんまり近付くと紅く火照って柔らかそうな肌が…ざわざわ…。

裏「ええっと…深雪さん?
深雪「…答えてください

深雪たんは何やら真剣な表情で僕を見つめてきた。

あれ、何この展開。

というかそんな格好で見つめられると…。
薄めの白いタオルに身を包み、豊満な胸の谷間を露わにする深雪たん。

…いかんいかん、目のやり場に困る。
性欲を持て余す。

裏「んー…どういう関係といわれても昨日偶然知り合ったくらいですからなんとも…

僕は神経の八割くらいを深雪たんの胸元に集中させつつそう答えた。
ぼいんぼいん。

深雪「その割にはとっても仲良さそうに見えましたけど

僕を横目になんだか不機嫌そうに言う深雪たん。
あれ、もしかして僕また何か悪いことしちゃったかな!

セクハラ的な目では何度も見てるが!

裏「あはは…、まぁその静名さんああいう性格だからそう見えるだけですよきっと
深雪「…裏葉さんと話してる時の静名さん、とっても楽しそうでした
裏「そ、そうですか?
深雪「…はい
裏「それは多分…いや、かなり間違った見解だと思いますよ

楽しそうというか確実にからかってるだけだと思うぜ深雪たんよ。
九割九分九厘くらいの確率で。

深雪「裏葉さんは…
裏「ん?
深雪「裏葉さんは…静名さんのこと、どう思ってるんですか?
裏「え?

どう思ってるって…、

気のいいお姉さん?

…ってお姉さんって歳でもなかったっけ…、まずいまずい。
なんだかまた知らない間に静名さんのペースに乗せられてる気がする。

それじゃあ仲のいい女友達?

…いや、まだ知り合って二日だし友達って言うのも微妙か。
知り合い?…はなんかやだし。

裏「そうですねぇ…、明るくて賑やかで…綺麗な人ですかね
深雪「…そう…ですよね…
裏「…?えっと、それがどうかしましたか?

何だか不思議に感じた僕はそう深雪たんに尋ねた。

深雪「いえ…ごめんなさい…
裏「…はぁ

……。

…しまった。
せっかく深雪たんが話を振ってくれたのにまた沈黙させてしまった。

裏「ええっと…深雪さんって、彼氏とか居るんですか?

僕はなんとか話を繋ごうと必死に話題を振ってみた。

深雪「ふ、ふぇ?

すると深雪たんは少し驚いた様に首を傾げながら僕を見つめてきた。

深雪「…どうして…そんなこと聞くんですか?
裏「あ、いやその…少し興味があったので!あはは
深雪「そう…ですか

そう言うと深雪たんは少し考え込む様に空を見つめた。

裏「ええっと、もし言いたくなければ別に無理に答えて頂かなくても…
深雪「…居ますよ
裏「え?
深雪「私、彼氏…居ますよ
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